2020年7月の東京・北区都議補選にホリエモン新党から立候補した"ゆづか姫"こと新藤加菜氏の「アベノマスクブラ」選挙ポスターが物議を醸しました。
「女性差別」「女性を性的に消費するな」といった批判が沸き起こったのです。
ここでは、この問題について、橘玲さんの「女と男 なぜわかりあえないのか」(文春新書)を元に、ゆづか姫の選挙ポスターにキレる女性の心理について考えていきたいと思います。
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「アベノマスクブラ」ポスターにキレる女性の心理
ゆづか姫の「アベノマスクブラ」ポスターを批判する女性は、自尊心が低く、自分より魅力的な女性に対して、仲間外れにして排除するような「間接的攻撃」をしたがる心理が働いていると考えられます。
橘玲さんの「女と男 なぜわかりあえないのか」には、自尊心の低い女性ほど、魅力的な女性を低く評価する傾向があるという実験についての記述があるので、早速見ていきたいと思います。
魅力的な女性は低評価
ミュンヘン大学の心理学者マリア・アグーテらは、次のような実験を行いました。
ドイツの大学で学ぶ223人の白人女性(平均年齢23歳)に、採用の一次選考担当者になったつもりで、ランダムに割り当てられた履歴書を読んで10段階で評価してもらった。
それとは別に、その応募者と「いっしょに働きたいか」「友だちになりたいか」と、応募者の魅力度をやはり10段階で答えさせた。
(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」)
その結果、
(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」)
- 魅力的な男性応募者
- 魅力のない女性応募者
- 魅力的な女性応募者
- 魅力のない男性応募者
女性の被験者は魅力的な男性を高く評価する一方、魅力的な女性を、魅力のない女性より低く評価していることがわかったのです。
被験者の自尊心(自己評価)の影響
さらに、アグーテらは、この実験と同じ条件で、応募者の評価に加え、被験者の自尊心(自己評価)の影響を調べました。
その結果、自己肯定感が高い女性は、魅力的な女性応募者を低く評価することはなく、逆に、自尊心の低い被験者は、魅力的な女性応募者を低く評価していたことがわかりました。
自尊心は外見に強く影響されることがわかっている。研究者はこの結果を、容姿に自信のない女性が、魅力的な女性を排除したのではないかと説明している。
魅力的なライバルは、魅力のない人間にとって「性愛競争」の深刻な脅威なのだ。
(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」)
女性の間接的攻撃
もうひとつ、ゆづか姫の選挙ポスターにキレる女性に特徴的な心理は、「間接的攻撃」です。
間接的攻撃とは、次のようなものです。
対人関係でトラブルが起きたとき、男は「直接的攻撃」すなわち暴力を用いやすく、女は「間接的攻撃」を使う。噂を流したり、友だちグループから排除したりといったことだ。
(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」)
そして、女性は、魅力的な女性に対して間接的攻撃を使うと考えられています。
女同士が1人の男をめぐって争う場面では、最大の障害は、自分と同じくらい、あるいは自分よりも魅力的な女だ。そう考えれば、女は魅力的な同性に対して「間接的攻撃」を使うのではないだろうか。
(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」)
上述の点から、ゆづか姫の選挙ポスターに対する批判は、自己肯定感の低い女性が、自分より魅力的な女性に対して、仲間外れにして排除しようとする「間接的攻撃」をしかけた結果と考えることができるのです。
ゆづか姫を応援する女性
炎上してしまった「アベノマスクブラ」ポスターですが、一方で「1人の女性として、勇気がすごい。尊敬します」といった意見も見られました。
今日、女性の方が声をかけてくださいました。
「色々言われていると思うけれど、1人の女性として、勇気がすごい。尊敬します。応援しています。」
嬉しくて、なんて言っていいかわからなかったけど、ひたすらありがとうございますとだけ伝えました…???
— ゆづか姫@印西市長選挙立候補中??しんどうかな (@himeyuzk) July 3, 2020
SNSではなく、選挙ポスターに「アベノマスクブラ」を採用するのは確かに勇気がいると思います。また、政治家として無名の女性が自分の主張を聞いてもらうためにインパクトのある服装で注目を集めたのも、それはそれで一理あるでしょう。
これらの点を客観視して、「1人の女性として、勇気がすごい。尊敬します」と言える女性は、自己肯定感が高く、魅力的な女性に対しても間接的攻撃をしようとは思わない女性なのかもしれません。
7回デートしたのに、自己肯定感が低く、女性を間接的攻撃していた男性の末路はこちらからご覧ください。
クロージング・テンプレートのレビューはこちら
(アイキャッチ画像提供:https://www.youtube.com/watch?v=L2l0n6LllKk)